2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Twenty five --**



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沼の精に背中を押され、ワタシは現実の世界に少しだけ戻された。


「栞?栞!俺だよ、分かるか?」


目が開いて意識がはっきりしてくると、直貴は必死にワタシに呼びかけていた。


……直貴の顔、想像どおりの泣き顔だった。


「直……貴……?」


酸素マスクが付いているのか、呼吸はそれほど苦しくなかった。


「おう……大丈夫だからな……ずっと俺が付いてるから」


いつから泣いていたんだろう、目を真っ赤に腫れさせて涙で声を詰まらせながら直貴は言う。


「ありが……とう」

「当たり前だろ、バカ……」


だんだんに体の感覚が戻っていくと、ワタシの手がすごく温かいことが分かった。


直貴がずっと手を握ってくれていたみたい。直貴の手に、結婚指輪が光っていた。


「直貴……ワタシもう……」

「そんなこと言うな……。今日は結婚1ヶ月の記念日だろ……?」
 

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