2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty five --**
カランッ、カランッ……。
栞がベッドの上で静かに目を閉じた瞬間、栞の結婚指輪が指から外れて床に転がり落ちていった。
栞の体からは一気に力が抜けていき、布団の上を滑るようにして左腕がだらんと下がっていったんだ。
俺がずっと握っていたのは、栞の右手……。
昏睡状態だった栞は、少しだけ右に顔を傾けて眠っていたから。
意識が戻ったとき、俺の顔が栞の右にあったほうが楽なんじゃないか、たったそれだけの理由から、俺は栞の右側にいた。
「よく頑張ったな……栞……」
そう言って、まだ温かい栞の頬に手を添えた。
涙を拭いてやりたくて……。
泣き叫んでわめき散らして、暴れまくりたい気持ちは山々だった。
でも、それはできなかった。
だって、ヒデと雪ちゃんと、父ちゃんと母さんに全部やられてしまったから……。
「俺だってな……あと何万回言ったって足りないくらい……愛してるよ……栞」