2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty five --**



カランッ、カランッ……。


栞がベッドの上で静かに目を閉じた瞬間、栞の結婚指輪が指から外れて床に転がり落ちていった。


栞の体からは一気に力が抜けていき、布団の上を滑るようにして左腕がだらんと下がっていったんだ。


俺がずっと握っていたのは、栞の右手……。


昏睡状態だった栞は、少しだけ右に顔を傾けて眠っていたから。


意識が戻ったとき、俺の顔が栞の右にあったほうが楽なんじゃないか、たったそれだけの理由から、俺は栞の右側にいた。


「よく頑張ったな……栞……」


そう言って、まだ温かい栞の頬に手を添えた。


涙を拭いてやりたくて……。


泣き叫んでわめき散らして、暴れまくりたい気持ちは山々だった。


でも、それはできなかった。


だって、ヒデと雪ちゃんと、父ちゃんと母さんに全部やられてしまったから……。


「俺だってな……あと何万回言ったって足りないくらい……愛してるよ……栞」
 

< 592 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop