2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side
     Twenty five --**



徐々に状況が飲み込めていくと、我を忘れそうなほどの悲しみと絶望が襲ってくる。


ブラックホールのとてつもない闇と静けさが、大津波のように一気に俺を飲み込んでいく。


何もかもが、闇へと吸い込まれ飲み込まれていく……。


「う……ううっ……うっ……なんで死ぬんだよ、栞……!」


こうなることは、結婚する前からとっくに分かっていた。


だけど、
だけど……。


「目を開けろよ、栞!……おい、聞いてんのかよ……!」


ユサユサと体を揺らしてみても、栞の反応はなかった。


分かっている。
覚悟も決めていたし、担当医から「今日から明日にかけてが山でしょう」と言われたときから心の準備はできていた。


でも、
でも……。


「頼むからさ……俺を置いてかないでくれよ……!」


俺は、糸が切れた凧(タコ)のようにフラフラと風に乗って流されていくだけの存在……。


もうとっくに我を忘れ、泣き叫んでいた。
 

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