2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty five --**
栞の亡骸の横で力なく崩れ落ちる俺は、栞の顔とは正反対の顔をしていることだろう。
この世の不幸を全部背負いこんだ顔をしていることだろう……。
いつかこんな日が来ることは、誰もが承知していた。
顔や口には出さなくても、栞の最後を看取った人たちなら承知していた。
だからって……、
だからといって、そう簡単に受け入れられるものじゃないし、簡単に受け入れられる方法があるなら今すぐ教えてもらいたい。
「もういいだろう、直貴。静かに眠らせてやれ……」
あまりにも激しく取り乱す俺を見兼ねた父ちゃんは、そう言って俺を抱き抱えるようにして立たせてくれた。
「あとは先生と看護師さんに任せよう……家につれて帰る準備をしてもらおう……」
栞が息を引き取った瞬間、病室の壁を殴る蹴るしていた父ちゃんだったのに、俺を支える父ちゃんの力と言葉は優しすぎた……。
「……あ……ぁぁぁぁぁぁっ!」
俺は大声で泣いた。