2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side
Twenty five --**
父ちゃんの胸に顔を埋(ウズ)め、泣き続けた。
ヒデも雪ちゃんも母さんも泣いていた。父ちゃんだって、いつも厳格な父ちゃんだって、声を上げて泣いていた。
この場にいるみんながみんな、栞に対するそれぞれ思いで涙を流していた。
俺は栞を愛する者として……妻を愛する者として。
ヒデは栞の仲間として……。
雪ちゃんは親友として……栞がたった1人、親友だと言った人として。
父ちゃんと母さんは、2人の娘として……俺の妻として迎えた娘として。
それぞれの悲しみが、それぞれの胸を痛める……。
頭をもがれるような、
体を引き裂かれるような、
胸を切り刻まれるような……。
言いようも例えようもないこの苦しみは、ここにいる人たちにしか共有できないだろう。
大事に大切に思っている人――たった1人、愛を捧げる人がこの世を去ったんだ。
この気持ちは誰にも分かるまい。
誰にも分かってほしくない……。