2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Epilouge --**



栞が死んでからしばらくは何も手につかない状態だった。


栞の葬式も火葬のときも、お通夜のときだって、俺の心は悲しみが止まらなかった。


でもさ、
人ってすごいよな?


今じゃさ、
栞がいなくなった世界も捨てたもんじゃないなんて思える。


季節が変わるごとに目に見える世界はどんどん色づいていくんだ。


心にぽっかり空いた穴も、俺と栞を支えてくれた人たちの温かさのおかげでなんとか埋め立て工事が始まった。


そういえば、栞にはまだ報告してなかったよな?


「俺さ、やっと先生になれたよ。俺の母校の小学校、そこの先生になったよ」


桜の木の幹にそっと手を当てて、栞に喜びの報告。……樹紀にも喜びの報告。


「それからさ、ヒデと雪ちゃん。なんだかんだ言って秋には結婚するらしいよ。先の楽しみが1つ増えたよな?」

「赤ちゃんはまだだけど、いつか必ず生まれるよ。ドタバタ夫婦になりそうだよな?」


そう言うと、俺の顔は自然にふっとした笑顔になった。
 

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