2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Epilouge --**
「それから……長坂さん。彼は栞の前に亡くなってたよ。ちょうど俺と栞が再開した頃に」
「ノートに書いてあっただろ?長坂さんは“同志”だって。葬式が終わってすぐにヒデと雪ちゃんが行ってくれたんだけど、もう亡くなったあとだった……」
長坂さんの話は、まだまだ胸がチクチクと痛む。
だけど、あれから1年以上経つのにずっと言えずにいたことだったから、こんな機会でもなければ到底言えないだろう。
長坂さんの影と決別するためにも俺のためにも……そして栞のためにも、俺の口から報告した。
「あとな、香織っていたの覚えてるか?彼女とはいい友だちだ。たまに飲むこともあるよ。あ、でも、ヒデと雪ちゃんも一緒だからやきもち妬くなよ?」
木の幹に手を当てていると、木の鼓動が聞こえてくるようだった。
根から水や養分を吸い上げていく微かな音が聞こえてくるかのようだ。
その音は、まるで栞が返事をしてくれているように心地いい響きを立てて俺の耳や心、頭……全身に駆け巡る。