2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Epilouge --**
そのときが来たら、俺は本当に笑えるんじゃないかな。
大丈夫。
“偶然”は“宿命”だから。
“必然”は“運命”だから。
大丈夫。
大丈夫。
大丈夫……。
ぶわっ!
「……!」
何の前触れもなく、散った桜の花びらをつむじ風が巻き上げる。
俺はとっさに目をつぶった。
“直貴……”
“兄ちゃん……”
――えっ……?
つむじ風の中、確かに栞と樹紀の声が聞こえた。
俺は、反射的にバッと後ろを振り向いた。
目を細めながら声が聞こえたほうを見ると、栞がいつも座っていたベンチの前に栞と樹紀が立っていた……。
「「笑っててね。いつでも見てるから……」」
日だまりの中に、確かに栞と樹紀はいる。満面の笑みで俺を見ている……。
2人の声が重なり合って、俺に“笑って”“いつでも見てるから”と、確かに言っている。
俺は声が出ない。
声が出せない。