2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Epilouge --**



その代わり、俺の目には涙が浮かぶ……。


「大丈夫……見ろよ?笑ってるじゃねぇか……」


涙が頬を伝う。
幾筋も幾筋も、涙がこぼれ落ちていく……。


その中で、俺はゆっくりと口角を上げて目を細めた。


「「その笑顔、ブサイクだよ」」


またまた声をぴったりと合わせて2人は言う。


「……うるさい」

「「でも、それが一番好き……」」


つむじ風が過ぎていくのと同時に栞と樹紀も消えていった。


そう言い残して、消えていった。


「ありがとう、栞、樹紀……」


俺はしばらく、2人が立っていたあたりを泣きながら見ていた。


それは、悲しい涙ではなく、愛しい人を想う涙……。


樹紀。
兄ちゃん、頑張るからな。自分の道、ちゃんと歩くからな……。


栞。
俺、幸せだよ……。
こうしてまた会えたこと、幻覚でも幻でもいい。
栞のお得意の魔法、またかけてくれたんだよな?


栞、樹紀、
……本当に、ありがとう。
 

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