2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Three --**



小峯栞の影の部分を垣間見たわけだけど、起きたら起きたでやっぱり小峯栞はキツかった。


肩を貸そうと言っても、ぶっきらぼうに「いらない」って言うし。


よかれと思って買いに走った湿布も「同情のつもり?」なんて聞くし。


さらに「ワタシの“ありがとう”はそんなに安売りしないの」ときたもんだ。


――同情ってそんなに悪いもの?


俺にはよく分からないけど、人によっては嬉しく思ったりそうじゃなかったり……。


人それぞれだからね、否定も肯定も俺はしない。


――同情より金が欲しいのかな?


“同情”という言葉から俺は『家なき子』を思い出した。


いや、でもな……。
きっと小峯栞は同情も金もいらないんだろうな。


そんなことを言ったら平手打ちだけじゃ済まなくなる可能性、絶大だ。


――じゃあ、俺がいつも仕事やプライベートで言っている“ありがとう”は何なんだ?


どこもかしこも大安売りしてるじゃないか。
 

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