2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Three --**



ほんとに小峯栞の言葉はキツい。あまり感情を表に出さない分、なおさらグサッとくる。


でも俺は、それが小峯栞なんだと思っている。


友だちの雪ちゃんやあの彼にもつき合えたんだ、俺にだってできるさ。


それに、俺は発見した。
小峯栞は俺と言い合いになると表情ができる。


怒った顔しか見たことないけど、それでも無表情よりはずっといいさ。


俺と話すことで、少しずつでも表情が柔らかくなったり感情を表に出すようになってくれればいい。


教師になる夢を諦めざるをえなかった俺にとって、2度目の生徒で最後の生徒。


小峯栞が普通に笑う日が来たら、俺は未練も執着もなく夢を思い出に変えることができる。


他人任せになるけど、本当に一番叶えたい夢だったから、引っ越し屋になってからも忘れられなかったんだ。


父ちゃんや母さんは教師になりたかったらなりなさいって言ってくれたけどさ。


でもアイツのことを思うと、俺だけ夢を叶えるわけにはいかないんだ。
 

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