2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Four --**
『あなたの落とした斧は金の斧ですか?銀の斧ですか?』
その日の夜、ワタシの夢の中にまたあの沼の精が出てきた。
この前と同じセリフで出てきた沼の精は、斧は持たずに始めから蝋燭を持って現れた。
「斧の話はこの前したじゃないですか。それに今日は始めから蝋燭持ってるし」
ワタシは冷静にツッコんだ。
『すみません、斧のことは人の夢に出るときの決まりごとなので』
「へぇ」
『はい』
そしてしばしの沈黙……。
沼の精もワタシも、その蝋燭の火に見入っていた。
『さて、小峯栞さん。私があなたの夢に二度も出るのには、少々理由がございます』
「ワタシの名前、ご存じなんですね。意外でした」
『いえ。この前も言ったように、私の仕事は……』
「あぁ、分かっています。理由をどうぞお聞かせください」
ワタシは今、沼の精と仲良く話している場合じゃなかった。
夢の中ででさえも、桃原直貴とどういう連絡を取ったらいいか考えなければならなかった。