2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Four --**
『今日はお忙しいようですね』
「そうですね」
――早く理由とやらを言ってくんないかな。
ワタシは少しイライラした。
『では理由を申しあげます』
「どうぞ」
沼の精は、ワタシの冷たい反応にいささか気を悪くしたようで、コホンと小さな咳払いをしてから話しだした。
『私はさまざな人の夢に出向き、このように精神に直接語りかけることができます』
「そのようですね」
『ええ。それで、夢の中で何を言うかといいますと、私の仕事を増やさないでくださいと、そうお願いしに回っているのです』
――仕事を増やすなとは?
『私は、死を間近にひかえた方の最期を看取るのが仕事だと説明しましたよね?』
「はい。確かにそう聞きました」
『私が看取る方の命にもいろいろとありまして。その中には、今の小峯栞さんのような方の命を看取らなければならない場合がございます』
――今のワタシ……?
ワタシは、沼の精の言葉に首をかしげてしまった。