2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Four --**



小峯栞の引っ越しを担当した次の日、俺は事務の吉田さんが社員全員から非難の声を浴びせられたことを知った。


原因は、もちろん俺。
小峯栞の引っ越しに丸一日費やして、しかも帰社時間も大幅に過ぎたことに社員たちは声を荒げたそうだ。


それを、吉田さんがその場で自分のミスだと謝罪したらしい。


小峯栞の引っ越しの日、実は何件も引っ越しの予定が入っていた。


それは、俺や他の社員たちが時間通りに仕事をこなせてやっと間に合うというくらい、キチキチのスケジュールだったんだ。


でも俺は、小峯栞が目の前で倒れてしまったことでパニックになってしまって、そのことをすっかり忘れてしまっていた。


吉田さんの“仕事のことは忘れなさい”という言葉に甘えてしまって、俺は会社全体に迷惑をかけてしまった。


『ニコニコ引っ越しセンター』を信用して依頼してくれたお客様に対しても、時間通りに引っ越しが終わらないという引っ越し屋にはあってはならない迷惑をかけてしまったんだ。
 

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