2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Four --**



毎日必ずする朝礼の場。


「皆さん、迷惑をかけてしまって本当に申し訳ありませんでした」


俺は社員たちに謝った。
でも、社員たちからはあまりいい反応はなかった。


「申し訳ありませんでした」


吉田さんも俺と同じように深々と頭を下げた。


「まぁいいじゃないか。わしは吉田さんも桃原君も間違ったことをしたとは思っておらん。久しぶりにわしも現場に出たんだ、楽しかったしの」


頭を下げる俺と吉田さんの横で、社長がホッホッホッと笑いながら言った。


「ですが社長……」


社員の1人が口を挟んだが、社長はそれを片手で制した。


「引っ越しの荷物を運ぶことが引っ越し屋の責務。しかしもっと大事なのは、いかなる場合でも命じゃ。そうは思わんか?」


社長は口を挟んだ社員に聞いた。


「……はい」


その社員は、渋々といった感じでそう返事をした。


「迷惑をかけたお客様にはわしが直接謝った。それでいいじゃないか。ん?」
 

< 87 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop