2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Four --**
毎日必ずする朝礼の場。
「皆さん、迷惑をかけてしまって本当に申し訳ありませんでした」
俺は社員たちに謝った。
でも、社員たちからはあまりいい反応はなかった。
「申し訳ありませんでした」
吉田さんも俺と同じように深々と頭を下げた。
「まぁいいじゃないか。わしは吉田さんも桃原君も間違ったことをしたとは思っておらん。久しぶりにわしも現場に出たんだ、楽しかったしの」
頭を下げる俺と吉田さんの横で、社長がホッホッホッと笑いながら言った。
「ですが社長……」
社員の1人が口を挟んだが、社長はそれを片手で制した。
「引っ越しの荷物を運ぶことが引っ越し屋の責務。しかしもっと大事なのは、いかなる場合でも命じゃ。そうは思わんか?」
社長は口を挟んだ社員に聞いた。
「……はい」
その社員は、渋々といった感じでそう返事をした。
「迷惑をかけたお客様にはわしが直接謝った。それでいいじゃないか。ん?」