2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Four --**



社長も吉田さんも、俺なんかの言葉じゃ言い表わせないほど、本当に素晴らしい人だと思った。


俺がもし吉田さんの立場だったら俺は“自分のミスだ”と言えるだろうか。


俺がもし社長の立場だったら、社長のように社員全員をまとめ上げる力や人望があるだろうか。


小峯栞の引っ越しの件は終わったけど、俺はなかなか気持ちを切り替えることができなかった。


1週間経っても10日経っても、俺の頭からはそのことが離れずにいた。


社員のみんなも、その日俺が仕事ができなかった訳を詳しく聞いて納得してくれた。


こういうケースは初めてだったから、仕事のマニュアルに対処の仕方や連絡の取り方などの改善策が加わったりもした。


だけど俺は、本当に情けないかぎりなんだけど、いつまでも心に引っかかってしまっていた。


それくらい、俺にとってはショックの大きい出来事で、なかなか立ち直れないんだ。


小峯栞のことはこの10日あまり、すっかり頭から抜け落ちていた。
 

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