2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- One --**
そしてなぜかワタシの目からは温かいものが流れた。
それは、涙というワタシには絶対に似合わないものだった。
「なに?いっちょ前に傷ついてんの?薄情者の上に泣き虫なんだ、あんた」
その男はワタシの横にピタッとついて歩いて、面白そうにそう言った。
「……あんたなんかに言われたくない。一度もしゃべったことないくせにワタシの何が分かるってのよ!」
バチーン!
とうとうワタシは、生まれて初めて男の人に平手打ちをしてしまった。
右手はジンジン痛い。
でも、それ以上にワタシの心は痛かった。
「ッいってぇ!……ついでに気が強いときたもんだ。あんた、おかしな人だ」
その男は、左の頬をさすりながらケラケラ笑った。
「届けてくれてどーも!ワタシのことはほっといて早く合コン戻れば?」
ワタシはその男からお金をもぎ取って、嫌味たっぷりに言ってのけた。
そしてまた、颯爽と風を切って歩きだした。
「あんた、餞別の意味、間違ってるよ」