2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Four --**
ドテッ!
フラフラと千鳥足ぎみに歩いていた俺は、その名前で思いっきりコケた。
コケた俺を誰も介抱してくれるわけもなく、通りを歩く人たちはクスクスと笑って通り過ぎていく。
「……ってぇ」
「桃原さん?大丈夫ですか?どうしたんですか?」
「あぁ、ちょっとコケただけ」
コケた俺を心配してくれるのは、電話の向こうの雪ちゃんだけ。
顔もよく覚えていない、雪ちゃんだけ……。
「心配させないでください!これで酔いも醒めました?」
「……はぃ」
少し怒った口調の雪ちゃんに、俺は“はい”と言えずに“はぃ”と語尾が消え入りそうになった。
――雪ちゃん、怖っ!
それが雪ちゃんの第一印象。
「私、忙しいので手短に話しますけど、いいですか?」
「はぃ……」
俺はコケたまま、冷たくて硬いコンクリートの感触と、痛いくてジンジン熱い膝小僧とのギャップに耐えながら雪ちゃんの話に耳を傾けた。