彼女がお酒を飲んだら
「んーー、久しぶりに酔ったぁ。」

彼女が繋いだ手を離さずにそのままぐいっと伸びをしたせいで、2人でバンザイしてるみたいな妙な格好となる。

おいおいおい……。

絶対こんなじゃなかったはずだ。

少なくとも俺は知らないぞ。


……あ、そっか。元彼のせいで身も心もヘトヘトなところで酒を飲んだからこうなったってことか。


なるほど、と思える答えを見つけた。

そんなにいい男だったのかよ。
そもそもいい男は浮気なんてしないだろ。

そんな男のためにこんなになるまで飲むなよな。


彼女も俺も会社の近くで一人暮らしをしていて、俺はこのまま歩いて帰れるが彼女は電車で隣の駅まで移動する。

だから彼女の足は自然と駅へ向かっていたが、このまま彼女を電車に乗せたら、怪しいオトコがわんさか家までついてきてしまいそうだ。


「あのさ、ちょっと酔いを覚ました方がいいよ。うちに寄っていきな。」

考える間もなく、そう誘っていた。


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