愛するほどに狂おしく
俺のもの
商店街へ向かう途中の駅前で行き交う恋人たち。
あなたとも、あんな時間があったのに。
そんなことを思いながら私は頬にできかけているシワを手で摩った。
歳、取ったんだなぁ。
ニヤニヤして若者を見ていると、後ろから声がかかった。
「お姉さん、ああいうデート憧れるの?だったら俺たちと行こうよ。」
今どき風のファッションで固めた見知らぬ数人の男性にあっという間に囲まれてしまい、なにも言えなくなる。
「優里〜?ごめんね、待った?誰、その人たち。」
あっ、彼氏持ち?じゃあねと小声で言ってそそくさと帰ろうとする男たちを理は引き止める。
「お前らガキのくせに人の女に手出そうとしてんじゃねーぞ!二度とこんなことするな。」
人の、女…か。
私の盾になってかばうようにそう言ったのは、やっぱり理だった。
「ありがと、理。」
ううんと首を振る理はもういつもの優しい理で、私たちは何事もなかったかのように商店街へ食材探しに入ったのだった。
私が夕飯の肉じゃがを作っている間に、理はお風呂を洗ってくれて、それぞれ順番にシャワーを浴びる。
映画を一本ゆっくり見て、そして。
必ず理は私のベッドに入ってくる。
もちろん別室に理のベッドはあるのだが。