しかし兵器は少女である
アーチを潜り抜け、茂みに頭から突っ込んでいく。

気配の逃げ去った方向へ振り向いたは、遠く、白い獣が地面を滑るように疾駆するのを見つけた。

白い毛皮に、白い尻尾。走るためにわずかたたまれた耳に、バランスを取っているつるりとした長い尻尾。

あれは――猫という動物だ。

しかし、なぜ逃げる。

「逃がさない」

捕まえてやる。

意味もなく衝動が巻き起こり、私は茂みから抜け出た。

白猫は、ピョンと向こうの生け垣を飛び越える。

その先は、たしか――屋敷の裏手で。

「待て!!」

「わっ!? やぁっ、お嬢さまぁ――っ!?」

給仕が、洗濯物を干す場所だった。

「わ!?」

生け垣を同じく飛び越えた私は、白いシーツの海に、視界を奪われた。

飛んで火に入るなんとやら。私はシーツへと突進し、くるまれ、着地もままならないまま地べたを転がった。

「な、む、むむぅ……んんっ!!」

「お嬢さま、お嬢さましっかり!」

泡を食った給仕が、もんどり打つ私を抱き締める。

ブヮサリと、シーツが舞い上がり、視界が取り戻された。
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