しかし兵器は少女である
「!」

と、見渡す庭園にひとつ、

「いた!」

白い小さな獣が、たおやかな四肢で歩いているのを、見つけた。

まるで貴婦人のように気取った歩調の白猫までの距離は、直線で百メートル、あるかないか。

狙いを定める。

身を低くし、膝に力を圧縮する。

解放。

私は大きく速やかに、空へ跳んだ。

跳躍によって生まれた風が、また私の髪とワンピースをはためかせる。

その音、空を抜ける心地よさに一瞬目を閉じ、

ひらいた。

白猫までの距離も速さも、絶妙。

あとはこの両手で掴まえ――

(!!)


はたと気付いた。

私の力は、思いのほか強い。

力加減を誤れば、猫を握り潰してしまう。

そしたら、給仕に見せてやれなくなる。

迷って、悩んで、戸惑って……知識も、満足な答えを与えてくれない。

手加減しなければいけないのはわかるが、どれくらい?

その疑問が――猫に気取られた。

なにを察知したのか、猫がこちらを振り向いたのだ。
< 7 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop