知らない彼が襲いにきます
母の死
朝、小鳥たちのさえずりが空を舞う。


私は窓から差し込む眩しい朝日に目を細め、起き上がると窓を開け放った。


今日は雲一つない、突き抜けるような晴天だ。


畑と農場と、石造りの民家がまばらに点在するブラッドフォード領が、屋敷の最上階のこの窓からは一望することができる。


私はこの景色が、土地が大好きだ。



――大陸の中央に位置するエクセヴィラー公国の東部平地一帯には広大で肥沃な土地が広がっており、農業が発展している。


ブラッドフォードは、この東部平地を治める領主家だ。


そして私、リリアーヌ=ブラッドフォードはこの領主家の一人娘、いわゆる令嬢と呼ばれる立場にある。
年齢は今年で十六歳。そろそろ、縁談が舞い込んでくる年齢だ。


しかし、私はいかなる縁談も受けるつもりはない。


それがたとえ、公爵からの求婚であっても。


なぜなら私には、想い人がいるからだ。
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