知らない彼が襲いにきます
なるほど、それは考えていなかった。


私は目を輝かせる。


これは、今まで聞いてきた中でも一番有用で信頼できる情報かもしれない。



「そういう高級な宿は、どのあたりにあるのでしょう?」



期待に胸をふくらませながら尋ねると、店主はうなって首をかしげた。



「首都のあたりかなあ。馬車で三日はかかるはずだ」



――馬車で三日。


馬すらも売り払ってしまった今、そんな場所に行けるはずがない。


いや、馬があったとしても、父から次から次へと仕事を言いつけられるため、そんな長時間外出する時間は取れないはずだ。


私はがっかりしてうなだれた。


八方塞がりだ。
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