知らない彼が襲いにきます
――淫魔。



その単語が、脳裏に浮かんだ。


淫魔は人間の精力を糧に生きる魔物で、その見た目は人を一瞬で魅了するほど美しいという。


背中に美しく光り輝く翼が生えているのも特徴だ。


また、彼らの口づけは魔力を持ち、媚薬のような効果を人間に与えるらしい。



全て、彼に一致する。



「っふ、う、ん……」



彼が再び唇を重ねてくる。


今度は深く、深く、味わうように。


私を舌先で愛撫しながら、彼の手が胸を滑る。


淫魔の罠に溺れてはいけない、それは分かっているのに、意思に反して敏感に反応する身体。


私はいつの間にか、彼との浅ましい行為に没頭していた――。
< 23 / 54 >

この作品をシェア

pagetop