知らない彼が襲いにきます
この三ヶ月で、私の体は驚くほど淫らになってしまったと思う。


彼の指先が私の肌の上で踊り、それだけで私はびくりと体を震わせてしまうのだ。


熱を持ち、赤く火照る肌。


その肌に、彼は丁寧に口づけ、あちこちに紅を散らしていく。


まるで、「愛している」と繰り返すかのように、優しく情熱的に。


そして、水仕事でぼろぼろになった私の手を見ると、彼は自分の手のひらで私の手を包み、そっといたわるように撫でさする。


「よく頑張ったね」と言うように、私の頭を撫でる。


彼の淫魔ならではの妖艶さもそうだが、時折見せるその優しさも、私を溺れさせる原因だろう。


いけないとわかってはいるのに、私はますます、彼から離れられなくなってしまう――。


結局、その日も私は彼と一夜を共にしてしまった。
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