知らない彼が襲いにきます
私にそんな価値があるものかと尋ねると、父は大口を開けて笑った。



「もちろん、こんな貧乏領主の娘に価値などないさ!しかし相手の方も婚期を逃した、所詮は下級貴族だ。釣り合いが取れているというものだろう?それに……」



「それに?」



嫌な予感を抱えながら、私は先を促す。



「それに、だ。結婚するといっても、実際のところ五十を過ぎた男の妻にこれといった役目などない。言ってみればお前はそう、雑用係だ。彼の屋敷で死ぬまで奉公する、その報酬としてうちの借金が帳消しになるというわけさ」



なるほど、それならつじつまが合う。


私はくらりとめまいを覚えた。


つまるところは、政略結婚以上の何物でもないということか――。


そんなもの、私は受け入れたくない。
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