知らない彼が襲いにきます
「領主の令嬢様が、情けないな!こんな姿を晒して!」



面白そうに笑う子爵。


単に体を痛めつけるだけでなく、それなりに地位のある者をの心を踏みにじるのがよほど楽しいに違いない。


私は格好の餌だったというわけか。


私の人生は、どこから歪んでしまったのだろうか。


私は、背中を鞭で打たれて引き裂かれるような痛みに耐えながら、自分の生きてきた十六年を思い返した。


運命の歯車が負の方向へと回り始めたのは、母が息を引き取った時からだろうか。


それとも、私が安易に縁談を受け入れた時からだろうか。


いや、違う――エヴァンがいなくなった時から、私の運命は変わってしまったのだ。
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