知らない彼が襲いにきます
「エヴァン……」



私は弱々しく呼びかけた。



「私を気安く呼び捨てないでいただけますか」



冷たい声が、私の心に突き刺さる。


私はその場に膝から崩れ落ちた。


そんな私を子爵は鼻で笑い、あとはエヴァンに任せたというように彼の肩をぽんと叩いて部屋から出ていった。


二人きりの空間で、静寂が訪れる。



「エヴァン、どうしてここにいるの」


私は彼の服の裾をつかみ、尋ねた。


しかし彼は答えようとしない。


それどころか、視線すら合わせてくれないのだ。


私のような身分の者とは、話したくもないといった様子だ。


私は彼の変わりぶりに驚き、絶望して、ぼろぼろと涙をこぼした。
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