知らない彼が襲いにきます
「何ですって!」



母の悲鳴のような叫び声と、ガシャーンとガラスのような何かが割れる音がした。



「お母様!」



私は着替えもせずに、ネグリジェのまま部屋から出て階段を駆け降りた。


なぜだろうか、とてつもなく嫌な予感が胸の中を走り抜ける。



「お父様、お母様、どうなさったの?」



私は、両親の声が聞こえてくるリビングルームに飛び込んだ。


そこには、不機嫌そうに口をへの字に結んでいる父と、顔を真っ青にして立ち尽くす母と、その足元に割れて散らばるガラスの花瓶があった。


何かに驚いた母が取り落としたのだろう。
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