クール上司とエレベーターに閉じ込められて
宮沢課長と
私、林紀子は二十五才はその日の仕事を終えると七階の総務課からエレベーターに乗り込もうとした。
エレベーターのドアが閉まる寸前で課長が走って来たのが見えたので私はエレベーターを開けて課長を待った。
「ありがとう、のりちゃん」
課長は、少しだけ息を切らせながら私の名前を呼んだ。
私が紀子だと知ってたんだあと嬉しくなった。
父があしたのジョーが好きで林姓だった私は、生まれた時に女の子と分かると紀子と付けられた。
父は、真っ白な灰になる事もなく今でも元気に働いてるが今時のりちゃんと言われるのは嫌だった。
しかし、課長からのりちゃんと言われて私は名前なんて何でも良いんだと思った。
私の周りの人達は、のりちゃんと呼んだが課長は必ず林さんと呼んでいた。
課長は、総務課のスター的存在だった。
身長は一メートル八十二センチあり痩せてるように見えるが夏になるとワイシャツから胸の厚みが分かった。
女性社員の中ではそれを隠れて見るのが流行っているくらいだった。
年齢は今年で三十三歳になるが若く見えた。
太目の黒縁眼鏡を掛けているが、それがとても似合った。
疲れた時に目の周りを揉む仕草で女性社員は昇天しそうになるのだった。
実際に課長の近くの席の水木さんは、その仕草を見て泡を吹いて倒れた程だ。
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