苦しくて、愛おしくて
私だって凛がそう言ってくれるならこのまま毎日一緒に帰りたい。
でも、せっかくできた学校の友達を大事にしてほしいとも思ってる。
「…奈央は、俺と一緒に帰るのもう飽きた?」
「っそんなことない!」
「、」
自分が想像していた以上の声量に、凛も私もビックリして歩いていた脚が止まった。
「分かった、俺明日から奈央の学校寄らずに帰る」
「……うん」
「よく考えたら家隣だし、奈央のお母さんのメシ美味いし」
「凛の家のジャンプ今月号まだ読みかけだしね」
「今週金曜ロードーショーあるし」
その言葉通り、私と凛は一緒に帰るのをやめた代わりに、お互いの家をよく行き来するようになった。
お互いの家でご飯を食べたり、漫画を貸しあったり
二人で肩を並べて金曜ロードショーを観たり
凛の家の冷蔵庫なのに、私の名前入りのプリンがあったりと。
境目なんて分からない。
気づいたら自然と一緒にいるのが当たり前になっていたよね、私たち。
口実を探さなくても、会いたいときに会って、遊びたいときに遊んで
ただ心の思うままに行動をしていたら
いつのまにか私と凛は
幼馴染みになっていた。