苦しくて、愛おしくて





身長も、入学当初の宣言通りどんどん伸びていって、あっさりと160センチを追い越されてしまった。

男の子はあっという間に成長するなぁ。

私なんて髪型と制服しか変わってないのに。凛だけ色々それはずるいよ。




──────キキキィ

凛の背中をぼんやり眺めながらそんなことを考えていると自転車が急に止まって、私は勢い余って凛の背中にぶつかった。


「い、ったあ~~。凛、急ブレーキで止まらないでって一昨日も言った」

「へーき、鼻もげてないから」

「もげてたら一生恨む」

「いーから早く行けよ」


しっしっと追い払われるように促され、私は下りながらポッケから出したスマホの画面をつける。

8:23分、ギリギリセーフ!



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