苦しくて、愛おしくて
そういうの全部上手く隠しているつもりか知らないけど、側から見たらバレバレ。
奈央だって気づいている。
そして、それが陰で
俺をどれだけ傷つけていたか
アンタは少しでも考えたことある?
「(いやねーな、絶対)」
白い息が気温の低い夜に溶けていく。
勉強を途中で放り投げたまま、家を飛び出した。
「はぁ、はぁ」
自転車をがむしゃらに漕ぎ、無理やり頭の中からさっきのやり取りを追い出そうと試みる。
〝お母さん、妊娠したの〟
うるさい
〝でも凛にも弟か妹が…〟
うるさいうるさい
「あーーークソ!!」
むしゃくしゃする。