苦しくて、愛おしくて




数キロ程自転車を走らせ、気づいたら飲食店やスーパーが立ち並ぶ道沿いまで来ていた。


どーすっかな。



ふと目に止まるGAO。

なんとなく入ってDVDの列を物色していると

洋画の新作コーナーで、奈央が観たがっていたホラー映画を発見した。


『これ、絶対面白いよね? 観に行こうよ!』

『怠い、めんどくさい。……でも、どうしてもってい…

『なら友達誘っていこーっと』

『…おー。そうすれば(最後まで聞けよ)』


でも結局、周りの友達でホラー好きな人がいなくて、探している間に公開が終了したんだっけ。


ふと棚をよく見ると最後の一枚だと分かり、それに後押しされるようにセルフレジで会計を済ませる。



こういうとき、無性に顔が見たくなるのはただ1人


自転車で来た道を、今度は別の理由で走らせる。



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