苦しくて、愛おしくて
こういうときだけ母親面してんじゃねぇーよ。
「じゃあ適当に座ってて。お風呂はいってくる」
「おー」
奈央の働くコンビニへ逃げて、奈央の横に逃げて、DVDを餌に奈央の部屋へ逃げた。
奈央の部屋は久しぶりだからか、なんとなくソワソワする。
とりあえずコートを脱いで、その辺の隅に置く。
奈央の部屋はピンクや水色など女子らしい配色なんて一つもなくて、無駄にシンプルだ。
「(あ)」
壁に飾ってある何枚かの写真の中に、奈央の卒業式に一緒に撮ったピースサインの写真が紛れていることに気がつく。
…やばい、ニヤける。