苦しくて、愛おしくて




そうしてようやく本編を
落ち着いて観れると思いきや

「部屋の電気消していい?」

危機感無さすぎとか、そういうレベルではないことを言い出してくる始末。


「……目ぇ悪くなんじゃん」


3周回って誘ってんのかと勘違いしそうになってくるけど、奈央はきっと絶対何も考えていない。


「だって画面暗くて何が何だか分かんないんだもん」


慌ただしく再びベットから下りると電気を消して、またすぐ定位置へ戻ってくる。


──────ドン

「あ、ごめん」

「っ」


勢い余って肩がぶつかったことに対して、過剰とも言えるほど反応を示した俺とは違って、奈央は至って平然と謝ってきた。


さっきから異常に左側全体を意識している俺は

映画が始まってまだ10分も経っていないのに、もう随分疲れている。




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