苦しくて、愛おしくて
「えーと、まあ、うん、そうだね…」
俺の言葉が、奈央に影響を及ぼすことなんて滅多にないから、その反応は凄く新鮮で。
手首を掴んだだけでビクッと肩を跳ね上げる奈央は、苦しいほどに可愛いから、困る。
「俺らもする?」
もっと奈央のそういう反応が見たいと欲張った俺は、自分でも大胆な発言をしたと思う。
からかい半分、恥ずかしがってほしさ半分だった。
奈央は瞬きを忘れたみたいに
目ん玉を見開いたまま固まり出す。
「え?!」
「いや反応遅」
「は、え? 何言ってんの? 勉強のしすぎで頭壊れた? それとも盛ってんの?」
でも、俺の想像していた反応とは程遠い奈央の表情に、傷つく予定のなかった心臓がギュッと締め付けられる。
ヒトって、オンナって、みんなこういうものなのか。
「割と言うな」
相手を傷つけているなんて発想、微塵もないんだな。
「だって!」
「だって?」
ギシッとベットが軋む。
相手のパーソナルスペースに踏み込むと
奈央はそれに抗うように身体を逸らす。