苦しくて、愛おしくて
運動公園に続く夜道を、凛と並んで歩くのも久々。
一日中快晴だったから、星もよく見える。
「てかなんでボール」
「久々にバスケやろうと思って。
凛が私に勝ったら、きっと明日の入試も勝つよ!」
「余裕じゃんそしたら」
「でも凛も引退してからやってないでしょ?」
「奈央なんてもう2年近くやってねーじゃん」
失礼な! 今でもたまにボールには触ってるよ。
でも反論できるほど自信もないので「ハッハッハ」とから笑いで誤魔化した。
─────シュッ
ボールが弧を描くように
ゴールに吸い込まれていく。
「あ゛ーっ、悔し!」
「はっ。2年もブランクある奴に負けてたまるか」
さっきから何回ゴールを決められただろう。
気づいたらお互い身につけていたマフラーもアウターも脱いで、トレーナーの袖をまくった状態になっていた。
ダン、ダン、とボールを人工芝に打ち付ける音が耳に響く。その感覚は、あまりにも懐かしかった。
ボールを持っているのは凛。
ジリジリとお互いの動向を探りながら、ディフェンスを構える。