苦しくて、愛おしくて
「明日だね、入試。緊張してる?」
ゴロン、と身体を凛に向ける。
「人並みにはな」
あれ、やけに素直じゃん。
「へえー、意外。『全然してねぇよ』とか言って強がるのかと思ってた」
「…」
夜空ばっか見ていた視線が
身体ごと私に向けられる。
「俺今年の目標「梟盧一擲」って決めたから。だから強がるのもやめた」
「きょうろいってき?? なにそれ」
「教えない」
なんだか最近、凛は肝心なことなにも教えてくれなくなったね。
秘密ばっか増やされるのは、普通に寂しいんデスガ。
「強がるのをやめたら、それは叶うの?」
私の問いかけに、凛はフッと息を漏らすように笑う。
「それは逆に、俺が聞きたい」
やっぱり最近の凛は、よく分からない。