ツナグ。
「あれ、部員これだけ? 足りなくない?」
「おおー、そうなんだよー。今んとこ、4人なんだわ」
オーバーハンドパスを直上で繰り返している、2年の若山ナツメが軽い口調で言う。
おちゃらけているが、何気ない直上パスの練習は、体育館のドアを開け放った夜須カイトには衝撃だった。
「す、すげっす……俺、直上でオーバー出来ない……」
「え? もしかして素人?」
「いえ、一応中学校ではキャプテンしてました!」
「……」
自信満々にそう告げた夜須は、誇らしげな顔で仁王立ちしている。
直上パスもまともに出来ないようなヤツがキャプテンで、しかもそれをどや顔で言うものだから、館内は再び静まり返る。