ツナグ。
「しかも、あんたは全国大会に行ったときのセッターだろ? てか、多分、3年間レギュラーだったはず」
「……」
周りでは相川の言葉に「ああ!すごいセッターって、コイツの事だったのか!」と記憶を手繰り寄せ歓声を呼び起こす。
当の本人、島津は唇を噛み締め、何かに耐えていた。
「先輩には失礼だけど、君みたいな逸材が何でここなわけ? 他にいくらでも強豪校あるじゃん」
「おい、ほんとに失礼なやつだな……確かに人数すらままならないけどな」
キャプテンをさっきまでぼっちだとか弄っていた、坂田が嘆く。
肩を落として分かりやすいほど。
「特待とかたくさんきたんじゃないの?」
相川の問いに肩を揺らして動揺したのは、島津にはひとつも来ていないのがみてとれる。
「そりゃさっきみたく、この……夜須にストレートな物言いするくらいだからね。思いやりみたいなのが、まるでなさそうだし」
「……てめぇ、そっくりそのまま返す」
「えー? 僕は全くの無名だから、ここにいてもさしておかしくはないよね
」
夜須は男子高校生の平均身長より遥かに小さく、後ろで言い争いをしている様子が、部員たちに丸見えだ。