好きだけど嫌い
【1章】中2の冬。
うちは嫌い。

この時期が本当に大嫌い。

うちから大切なものを奪う。

春。

『え、櫻田先生!今日で最後なん!!』

そんな声が聞こえた。

今は部活の休憩時間。

私はその声だけは聞きたくなかった。

聞き間違えだと思いたかった。

『千歳……。櫻田先生、今日で最後やて……。』

「そんなん聞こえてるって!」

私はその場から走り去った。

練習がまだあることなんて忘れて。

大きい声だしてしまった。

せっかく葵とか心配して声かけてくれたはずなんに。

最低だ。

そんなこと思いながら、呼吸が苦しくなりながらも走り続けた。

しかし、

『うわ!!』

ドン!
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