好きだけど嫌い
誰かとぶつかった。

尻餅ついてしまった。

謝ろうとした。

けど。

恥ずかしいし、多分涙で自分の顔はヤバイことになってると思った。

顔あげれんって思った。

『びっくりした!どーしたん、そんな走ってきて。つうか廊下は走っちゃ駄目やぞ?』

顔を覗きこまれてしまった。

兼山先生だった。

思い切り目があって、自分の顔があかくなってきたのが分かる。

「ごめんなさい!!」

とりあえず謝った。そして逃げようとした。

尻餅の状態から立とうとしたら、バランスを崩して前に。

「ヒャッ!」

『おっと……セーフ。僕、ナイスキャッチやろ?』

兼山先生の胸に飛び込んだ形になっていた。

思わず兼山先生の声に反応して、顔をあげてしまった。

『え、泣いてたん?どうしたん?』

今さら気づいたのかと思いながら、逃げ出した。

おそらく、兼山先生と思われる人が背後で追いかけてくるのが分かったが振り向かなかった。

とりあえず階段を上がった。

そして4階まで一気にかけあがり、女子トイレの奥の個室に駆け込んだ。

うずくまった。
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