信愛なる君へ
「あ…なたは……」
私が目を大きく開いてびっくりしていると、彼はお構いなしに研究室の扉を開いた。
「何してるの?早く入りなよ」
「あ、ありがとうございます…」
紡はお礼を言いながら先に研究室の中へと入っていく。
「君は?君もここの研究室に配属されたんでしょ?」
「あ、はい、ありがとう…ございます…」
私はその無表情で喋り続ける彼に圧倒されながら研究室へと足を踏み入れた。
180cmくらいのとても高い背丈。
細すぎず、バランスのいい体格。
黒縁眼鏡をかけた…無表情な、顔。
だけど眼鏡越しの瞳には….魅力を感じる。
どこにでもいそうなフツーの人。
だから違う人かもしれない、でも、間違いない。この人だ。
あの日、カフェで私の身体を支えてくれた彼に間違い……ない。