信愛なる君へ
-Men’s meeting-
「気付いてたんだろ、彼女に」
「何が?」
「菅原があの時、カフェで俺が助けた子だって」
「それ言うなら、お前が先に気付いていただろ、氷雨」
「………………………気付いたよ」
「咲笑ちゃんにあの時助けた本人だ、って言ったのかよ」
「言ってない。言う必要がなかった」
「言う必要がなかった?咲笑ちゃんが先にその話を切り出してきたってことか?」
「そうだよ」
「気付くもんかね…。でもよかったな」
「何がよかったんだ」
「咲笑ちゃんが氷雨に気付いてくれてだよ」
「俺は気付いてくれない方が楽だったよ。願わくばもう二度と会いたくなかった」
「は?んだよ、それ」
「菅原の笑顔をみた途端、自分の感情が動くのがわかったからだよ。それよりヒデ」
「………………わーってるよ、悪かったって。おそらく浮気をされた咲笑ちゃんにとってあの発言と行動はあまりにも軽すぎた」
「ならどうしてそんなに困った顔、してんだよ」