信愛なる君へ
「…………華さんとヒデさんに、ですか?」
「……………………ん」
一瞬大きく目を見開き、ふいっと顔を逸らした氷雨さんの耳は少し赤みを帯びていた。
「ふふっ、優しいですね」
「大したことじゃない」
そう素っ気なく返してくる氷雨さんだけど、とても優しくみえたのは気のせいじゃないと思った。
「ところで…」
「どうした?」
「氷雨さんは大丈夫なんですか?その、睡眠不足というか…」
「あぁ、俺は大丈夫だよ。この2人よりは帰って寝てもいるし」
「ならいいんですけど…4年生のみなさん、今の時期は何かあるんですか?」
「そうだな…卒論の中間報告があるからな、あとは『合宿』もあるし」
「へ?が………っしゅく?」
「へ?ってお前…。もしかして聞いてないか?」
「えっと…聞いてないです?」
私がそう答えた瞬間、はぁ〜っと大きな溜息を氷雨さんがつく。