愛は尊い
「いいですか?常に笑顔で、相手の顔を見ていてください。視線が合えば愛想よく、社長夫人として凛としていていてください。何かあれば社長…か、そばに私がいますので言ってください」
綺麗に着飾った私
スレンダーな美人の店員さんに
ドレスに合う化粧やヘアにしてくれた
魔法にでも掛かったかのように
自分じゃないみたいだ
いつもスッピンに近い化粧だ
だが、少し手を加えただけで
こんなにも大人びた完備になるのかと
感心してしまった
すべてが終わり
車に乗せられた
隣には
腕を組んだまま目をつぶっている操さん
背もたれに身体を預けるなんて無理
緊張からなのか背筋を伸ばし
少し前かがみに座っていた
『…社長夫人として…ですか』
毎日のように
勝田さんが教えてくれていたこと
なんの意味があるのだろうかと
いつも思っていた