愛は尊い


『……っ、ごめんなさい』



すっかり忘れていた
操さんの腕に自分の腕を組む
正解だったのだろう
操さんは何も言わず歩き出した


いつも急ぎ足というか
行動が早い操さん
けど私がいるからか
いつもよりゆっくり歩いてくれた


ちらっと、操さんの顔を盗み見る
思えばこんな近くで
操さんを見たことないな
操さんが帰ってきて
食事をしている時だけしか
顔を会わせることしかない

だから…ドキドキしている
緊張しているのか、
それとも操さんが隣りにいるからかなのかわからない


「音」


不意に向けられた視線
いきなり合わさった視線に
はい、と声が裏返ってしまった


「挨拶回りをしたら帰っていい。それまで余計な事をするな。ただ俺の横で愛想よくしていたらいい」


『でも、』


「挨拶回りだけで疲れるぞ」


だから帰れと?
これって私を気遣ってくれている?
そう思うと嬉しくなった


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