愛は尊い
「もういい、帰れ」
一通り挨拶が終わったのか
ロビーの端っこ、
あまり人が通らない影へ移動した
『でも、操さんは?』
「俺はまだ仕事がある。これ以上は必要ない」
操さんの妻として…
そして初めて必要とされた
だから、まだ操さんといたいと思ってしまったが、それを必要ないと言い切る
けど…と、言葉を続けようとしたが
操さんは既に耳にスマートフォンを当てて誰かと話していた
これ以上は何も言うなという雰囲気
話し終わると
操さんは私の腰に手を回し歩き始めた
私の役目はこれで終わり、だ
ホテルの入り口へと行くと
秘書さんが待っていた
周りに人がいるのもあり
操さんは私の頬に近づき
触れるか触れない距離
「後は頼む」
それだけ言い、私を秘書さんに託して
操さんは行ってしまった
フリ、なんだろうが
まさかの行動に顔が真っ赤になった